「災害支援」ボランティアってどんなかんじ?実際に活動している団体に聞いてみました|ボランティアガイド - Yahoo!ボランティア

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「災害支援」ボランティアってどんなかんじ?実際に活動している団体に聞いてみました

「災害」ボランティアの様子
写真提供:ピースボート災害支援センター(外部サイト)

Yahoo!ボランティアではカテゴリーに分類してボランティア活動を掲載していますが、実はカテゴリーの中にも多様な組織や活動が存在しています。今回は災害ボランティアの一例として、「人こそが人を支援できる」を理念に、災害に強い社会作りに取り組む「ピースボート災害支援センター(外部サイト)」に、実際の活動について聞いてきました。

団体の活動内容を教えてください。

私たちが災害ボランティアをはじめたのは、阪神淡路大震災からです。その後、プロジェクトベースで、世界各地の被災地で活動をしてきました。同じように東日本大震災後もすぐに現地に向かいましたが、あまりにも大きな被害で復興には相当な時間を要するだろうという状況でした。そこで、継続的な支援ができる災害支援に特化した団体をつくろうということで一般社団法人を設立。今も災害が発生するたびに、被災地に常勤スタッフを派遣し、現地の人々とボランティアと一緒に活動しています。

私たちが大切にしているのは「人こそが人を支援できる」という理念。いろんな人が関わり、被災者とともに過ごし、支援活動をすることでしか見えてこない景色があります。数カ月単位の緊急的な支援だけでなく、長い場所では数年単位でサポートする場合もあります。被災地の状況やニーズは変化するので、支援活動の形も柔軟に変化させていきます。元の状態に戻すだけでなく、できれば被災前よりももうちょっと元気な状態を目指して、まちづくりやコミュニティー再建までをもサポートしていきます。

ボランティアはどのようなポジションで活動できるのでしょうか。

基本的には被災地を訪ね、実際に体を動かすボランティアです。例えば水害・津波被害などでは、浸水した家の家財を外に出したり、家の中に溜まった泥を片付けたりします。炊き出しの準備などもよくボランティアをお願いしますね。

「災害」ボランティアの様子
写真提供:ピースボート災害支援センター(外部サイト)/Shiho Yuruki

また避難所の運営支援も多くの人が関わる活動です。もともと生活を想定していない学校の体育館のような避難所で、多くの被災者が寝泊まりするために必要なあらゆることは、基本的に自治体職員と地域の人が協力してやることになっています。衣食住の確保、避難所利用の受付、支援物資の配布、トイレ清掃などさまざまな要素があり、ルールや担当者を決めて地域の人が運営していかなくてはなりません。しかし、これまでに避難所運営経験がない人が突然運営を担うことになっても、なかなかスムーズには対応できません。そこで経験のある支援団体のスタッフと一緒にボランティアメンバーがサポートに入り、運営のお手伝いをします。

活動を通じて、どんな体験・経験が得られますか。

いくつか観点があると思いますが、まずは多くの人にとって、活動した被災地が特別な場所になると思います。現地で見る光景にはきっと驚くと思いますし、そこで過ごす濃い時間は他の経験では代替できるものではありません。その場所に特別な思いを持つと同時に、自分の住む地域の防災を考え直す機会にもなると思います。

また、被災者とのつながりもかけがえのないものです。悲しいことや嬉しいことを見聞きしながら、感謝を受け止める機会もあると思います。これまでつながりのなかった人と、新しい関係を築いていく。これもまた、なかなか代替できる経験ではないはず。

被災者との関係だけでなく、ボランティア同士の関係も生まれます。日常では出会わないようなさまざまな方と活動し、上司部下・先輩後輩もなく、フラットに人と関わる機会って意外とないですよね。

どのようなスケジュールで活動するのでしょうか。

現地の被災状況や時期によっても受け入れの環境は変化しますので、あくまでひとつの例として、金曜日の夜に現地集合、日曜日の夕方に現地解散の災害ボランティアのケースをご紹介します。

金曜日の夕方に到着したら、まずは1時間ほどオリエンテーションを受けていただきます。現地の状況や活動内容、宿泊などの身の回りのことを説明して、装備品もここでお渡しします。

翌朝土曜日は、8〜9時くらいに一緒に活動するチームで顔合わせをします。10時くらいには現地に到着して活動開始。お昼や休憩をはさみながら、夕方まで活動してその日のボランティアは終わり。17〜18時くらいには全体でミーティングをしてその日の出来事を振り返ったり、思ったことを共有したり。その後は、それぞれのタイミングでご飯やお風呂に入って寝ます。

同じように翌日も作業して、夕方に現地解散ですね。

どんな人たちがボランティアとして活躍していますか。

属性でお伝えすると、女性6割、男性4割です。大学生〜30代の若い層や、60代以降のシニア世代などが中心で、30代後半から50代の働き盛りは比較的少ないですね。

発災後まもなくは、いろんな被災地でボランティアをしてきた熟練ボランティアが多いですが、災害ボランティアが初めてという方でももちろんウエルカムです。ニュースや報道が少なくなるタイミングこそ、ボランティアの力が必要な時もあります。

「災害」ボランティアの様子
写真提供:ピースボート災害支援センター(外部サイト)/Kenji Chiga

ボランティアに必要なスキルはありますか。

なるべく多様で多くの方に被災地の支援に関わってもらいたいと思っています。泊まれる場所の確保や丁寧なオリエンテーション、装備品のお渡しなど、初心者でも活動できるように環境を整えてきたので特別なスキルは必要ありません。誰でも活動可能です。

とはいえ、炊き出しには調理師や栄養士がいてくれたら助かりますし、避難所では看護師、介護士のスキルが役に立ちます。家屋の修繕では大工さんがいてくれるととても頼もしいです。それぞれ、プロとしてのこだわりが強すぎると、臨機応変に対応したい被災現場としてはちょっと困ってしまうこともありますが(笑)。

活動する上で大切にすべき点はどんなことでしょうか。

被災者がどんなことを思うか・感じているかにつねにアンテナを張って行動してほしいです。自分のやりたいことを表現する場ではないので、あくまでも被災者・被災地を中心にあらゆることを考えてもらいたいと思います。

また、被災地は非日常の空間であり、とても混乱していることを理解して来てほしいです。普段の生活は、段取りを組もうと思えばちゃんと組めて、それに沿って順番に事を進めることができます。しかし、被災地ではそうはいかないことも多いです。もちろん、いろんな段取りはできるように進めていきますが、想定外なことは多く発生します。そんな状況も柔軟に乗り越えられるやわらかいマインドセットは持っていてほしいですね。

※その他、気をつけるべきこと、大切にすべき点などははじめての災害ボランティアにもまとめられていますので、是非あわせてご覧ください。

執筆:葛原信太郎
取材協力:ピースボート災害支援センター(外部サイト)

ピースボート災害支援センターのロゴ

ピースボート災害支援センター(PBV)

ピースボート災害支援センターは、 被災地での災害支援活動や災害に強い社会作りに取組む非営利団体。東日本大震災では、のべ9万人のボランティアを受け入れ。災害発生時に、国や地域を越えてすべての人々が互いに助け合える社会を作ることが、困難に立ち向かう力になると信じて、被災地の復旧・復興や防災・減災を学ぶ機会の提供に取り組む。

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