「国際協力」ボランティアってどんなかんじ?実際に活動している団体に聞いてみました|ボランティアガイド - Yahoo!ボランティア

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「国際協力」ボランティアってどんなかんじ?実際に活動している団体に聞いてみました

国際ボランティアの様子
写真提供: 日本国際ボランティアセンター(外部サイト)

Yahoo!ボランティアではカテゴリーに分類してボランティア活動を掲載していますが、実はカテゴリーの中にも多様な組織や活動が存在しています。今回は国際協力ボランティアの一例として、誰にでもできるシンプルな手作業から、課題を抱える外国の人々のための政策提言や地域開発まで、幅広く活動している「日本国際ボランティアセンター(外部サイト)」に実際の活動について聞いてきました。

団体の活動内容を教えてください。

一般にボランティアは<無償>という意味で使われることが多いのですが、私たち日本国際ボランティアセンター(以下、JVC)は<自発的に何かをする人たち>という意味でボランティアという言葉を使っています。現在は、ボランティアが現地で活動するというよりは、日本でボランティア活動をしてもらう事が多く、課題を抱える海外の人々に対し、自発的に行動する人が集う場として機能しています。

設立当初は難民キャンプの人たちを支援する人道支援から始まりました。しかし現場での課題解決だけでは「難民が生まれてしまう」という本質的な課題は解決できないことに気づき、人道支援に始まった活動はその後、政策提言、地域開発といった活動に広がっています。

それぞれ活動地域も分野もバラバラですが、その中で私たちがこだわっていることは「この問題はどこからきているの?」と根本の部分を考え尽くし、現地の人たちが何をしたいのか、どうなりたいのか、またJVCの活動によって彼ら彼女ら自身の中に何が残るのかを突き詰めることを大事にしています。

ボランティアはどのようなポジションで活動できるのでしょうか。

ボランティアには、JVCが現地で行う活動を日本国内で支えてもらっています。ボランティア活動には、大きく分けて昼ボラ(昼ボランティア)と夜ボラ(夜ボランティア)の二種類があります。

JVCは、全国から切手(使用済み・未使用)やはがき(未使用・書き損じ)、外貨、商品券などのさまざまな物品を集めて換金し、活動資金に役立てています。2021年には約11,000件、約2,500万円分の物品が集まりました。昼ボラは主にその仕分けや個人情報の裁断処分の作業を担当します。

夜ボラは、ラオス、南アフリカ、パレスチナ、スーダン、南北朝鮮半島などの外国諸国で行われている事業を応援したいボランティアが自発的に集まって、勉強会をしたり、活動についての広報活動や必要な資金をどう集めるか話し合ったりといった活動を、国ごとのチームに分かれて行っています。

集めた物品を活動資金にする様子
写真提供: 日本国際ボランティアセンター(外部サイト)

どのようなスケジュールで活動するのでしょうか。

活動への参加を希望する方からは、まず事前に電話やメールでお問い合わせをいただきます。こちらからは来ていただける日にどんな仕事があるか、その仕事がどんな結果につながるのかをお伝えして、希望を聞き、仕事を割り振っています。

昼ボラは、月曜日から金曜日の10時から17時に事務所で作業を行います。必ずしも一日中活動をする必要はなく、その時間のあいだで作業可能な時間に来ていただいています。お昼を挟む場合は、スタッフとランチしていただくこともあります。

夜ボラは、応援する国別に分かれたチームで、曜日によって事務所の利用を区切っています。どの事業を応援するか決めたら、それぞれのメーリングリストに登録していただき、何曜日に活動があるのかという情報はチームメンバーが発信するメールで届く仕組みになっています。

どんな人たちがボランティアとして活躍していますか。

昼ボラは、ボランティア体験を希望する中高生から、昼間に自由な時間が確保しやすいシニアまでさまざまです。

夜ボラは、現地の課題解決のための事業を応援したい学生や社会人が多いです。また、英訳作業を担う専門チームもあり、日本在住で英語を母国語とする外国の方や、英訳や翻訳の仕事に就きたい日本人の方などが、基本的にオンラインで活動しています。

活動を通じて、どんな体験・経験が得られますか。

夜ボラでのチーム活動は、いわば、気になることを仲間と一緒に追求し、実現していくコミュニティーやサークルのようなもの。夜ボラに参加するボランティアは、現地のことを真剣に考えている人と専門的な話をしたり、スタッフに現地の現状を聞いたりすることができ、自分のペースで現地の課題解決に関わることができます。

昼ボラも、作業をしながらスタッフと社会情勢について話したり、活動の話を聞いたりしています。これによって、不定期または単発で参加される方からは「国際協力は遠い感じがするけれど、意外にもシンプルな作業を通じて関われること、自分でもできることがあると思えた」などと話してもらえることも多いです。

一度JVCのボランティアに関わると、使用済み切手一枚がもうゴミには見えなくなり、考えるきっかけが生まれ、生活の視点が変わっていくようです。

ボランティアで活躍する人はどんな人ですか。

昼ボラは作業自体がシンプルなのでどんな方でも活躍できます。

夜ボラは、JVCを通して自分のやりたいことを実現したり、働きながら国際協力に関わっていきたいという方が多いです。とくに自分がやったこと、関わったことの先を想像する力や、行動力に長ける方が活躍されていますね。JVCは決して世界の人たちの問題を他人事にせず、自分たちができることをするというコミュニティーなので、行動力や好奇心の強い方が向いていると思います。

ボランティアに必要なスキルはありますか。

特に必要ありません。昼ボラでは切手を切り取る作業があるので、よく切れるハサミを持ってくるぐらい。一度来たら自分に何ができるのかがわかるので、ふらっと1時間だけ来ましたという方もいるぐらい、参加のハードルは高くありません。

活動する上で大切にすべき点はどんなことでしょうか。

ボランティアは手を動かすことも大事ですが、知ること、学ぶこと、考え続けること、発信することも大事なボランティアだと考えています。

JVCのDNAにはいろんな説があるのですが、「I T I=(い(I)てもた(T)ってもい(I)られない)」というものを推すスタッフもいます。何かやりたいという気持ちを大事にしていますし、ボランティアのみなさんにもぜひ大事にしてほしいと思っています。

あとは「試行錯誤を繰り返すこと」。正解は一つじゃないし、常に状況は変わります。スタッフもそうなのですが、どんな支援が現地にとって一番いいのかについてボランティア自身も考え続け、現地のためになる支援ができるようアップデートしていくコミュニティーでありたいと願っています。

執筆:藤川典良
取材協力:特定非営利活動法人 日本国際ボランティアセンター(外部サイト)

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特定非営利活動法人 日本国際ボランティアセンター

1970年代、インドシナで迫害を恐れる人々が、海路や陸路で国外に逃れる様子がメディアで流れ、それを見た若い人たちが「自分たちにも何かできることを」とタイの難民キャンプに集まって1980年に団体設立。国際社会のなかで、社会的、精神的、物理的に困難な立場を強いられる人々と協力し、暮らしと地球環境を守る新しい生き方と人間関係をつくることを目指す。

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