「医療」ボランティアってどんなかんじ?実際に活動している団体に聞いてみました
Yahoo!ボランティアではカテゴリーに分類してボランティア活動を掲載していますが、実はカテゴリーの中にも多様な組織や活動が存在しています。今回は医療ボランティアの一例として、"がんに影響を受けるすべての人が、自分の力を取り戻せるように"という思いを持ち活動する「マギーズ東京(外部サイト)」に、実際の活動について聞いてきました。
団体の活動内容を教えてください。
マギーズ東京は、がんに影響を受けるすべての人が、気軽に訪れて安心して話せる場所「マギーズセンター」を運営しています。「がんに影響を受けるすべての人」とは、がんを患う方だけを指しているのではありません。その家族や友人なども含めて来ていただける場所をつくっています。
マギーズ東京は、病院と家の間にある第二の我が家のような場所と言ってもいいかもしれません。センターには、がんに詳しい看護師や心理士がおり、医療知識のある友人のように、話をお聴きします。治療をしながらの暮らしの工夫や、自分の力を取り戻す実用的・心理的・社会的なお手伝いをするのです。お話をしたくない方はただそこにいるだけでも構いません。
センターは建築的・空間的な工夫もされています。病院の部屋は、小さなブースに区切られ、窓がない場合もあり、居心地がいい場所とは言えない場合が多いでしょう。マギーズセンターでは、極力壁のないオープンな空間でお茶を飲みながらお話をします。また創設者が造園家であったこともあり、広々とした庭にはさまざまな植物が育っています。
ボランティアはどのようなポジションで活動できるのでしょうか。
相談にあたって、センターを訪れる方からお金はいただきません。そのため、さまざまなチャリティー活動を実施しています。イベントなどを実施することも多く、そこにはボランティアのみなさんにたくさん助けてもらっています。当日の運営スタッフはもちろん、事前の広報、チケットの券売のための販促などはプロボノ(職業上持っている知識やスキルを使ってボランティアする各分野の専門家)にお手伝いいただくことが多いです。
相談支援をサポートしていただくボランティアさんもいますが、こちらは私たちが実施する研修を受けてもらう必要があり、それほどたくさんの人に参加いただける体制ではありません。
一番広くボランティア活動を募集しているのは、月に1回開催している「花畑活動」です。センターのすぐ近くにある私たちの庭の手入れや雑草取りなどをお願いしています。これは、専門的な知識や事前研修は不要で、誰でも気軽に参加できるボランティアです。
活動を通じて、どんな体験・経験が得られますか。
花畑活動は、利用者さんを間接的にサポートするボランティアです。利用者さんは、美しい景色を見て心を落ち着かせたり、少し華やかな気持ちになったりする。内容の重い相談をして泣き腫らした方が、愛おしそうに花を持って帰ることもあります。
また、現代において、がんはめずらしい珍しい病気ではありません。かつてのセンターの利用者さんがボランティアする側になることもあれば、ボランティアをしていた方ががんを患うこともある。「助ける・助けられる」「支える・支えられる」といった循環の中で活動することは、心が満たされる体験になるのではないでしょうか。
どのようなスケジュールで活動するのでしょうか。
花畑活動は、毎月第4土曜日の午前中に実施しています。
9:30に集合してもらい、その日の注意事項などを周知します。その後、準備ができ次第活動を開始してもらって、1時間ごとに休憩を入れます。11:30ごろまで活動し、片付けをして終わりです。
どんな人たちがボランティアとして活躍していますか。
マギーズ東京に興味がある方はもちろん、純粋に植物の世話や土いじりが好きな人、親子で自然に触れ合う体験をしたい人など、さまざまです。
交通費などはお渡しできませんし、駐車場の用意もないので、基本的には近隣の方が多いです。
ボランティアに必要なスキルはありますか。
ボランティアさんの中にはプロのガーデナーの方もいます。彼らに教わりながら活動を進めますので、特に必要なスキルはありません。
活動する上で大切にすべき点はどんなことでしょうか。
ボランティアの方々は、基本的に志や視座が高いです。しかし、そういった方であっても、たくさん集まって作業をすると不協和音が生じてしまうこともある。極力そのような事態にならないように、ボランティアのみなさんにはおおらかな気持ちで参加してほしいです。
それぞれの思いを大事にしながら対話ができるグループでいられるように、お互いに心を配っていければ、と思っています。
執筆:葛原信太郎
取材協力:認定NPO法人 マギーズ東京(外部サイト)
認定NPO法人 マギーズ東京
マギーズセンターは、創設者マギー・K・ジェンクス(造園家)が、自身のがん体験から、「治療中でも、患者ではなく一人の人間でいられる場所と、友人のような道案内がほしい」と願ったことがきっかけで1996年に英国で誕生。今では英国内に20か所以上、香港やスペインなどへも広がっており、日本には2016年にマギーズ東京を初めてオープン。