「地域活性」ボランティアってどんな感じ?実際に活動している団体に聞いてみました
Yahoo!ボランティアではカテゴリーに分類してボランティア活動を掲載していますが、実はカテゴリーの中にも多様な組織や活動が存在しています。被災地支援のボランティアといえば現地に赴くイメージが強いのですが、そのハードルをぐっと低くしたのが「きっかけ食堂(外部サイト)」。今回は地域活性ボランティアのひとつの例として、遠く離れた場所から東北の応援ができる場を提供する彼らの活動についてお話を聞いてきました。
団体の活動内容を教えてください。
東日本大震災の月命日(毎月11日)の夜に、東北の食材を使った料理や酒を提供するイベント「きっかけ食堂」を企画・運営。これまで東京、京都をはじめ、愛知、仙台、大阪、島根、徳島、千葉、熊本、新潟の10拠点で開催してきましたが、コロナ禍で2022年現在は東京と京都に限定して開催しています。
約3時間のイベントでは、営業許可を持っている飲食店をメインに開催場所を提供してもらっています。そこは、お客さんに東北の食材を使った料理を食べてもらいながら、どんな人がその食材を作っているのかといった食材の背景、生産地の特徴などをスタッフがお客さんにプレゼンテーションし、みんなで気づいたことを共有する交流の場です。学生から40~50代の層まで、バランス良く老若男女が参加されています。
どんな人がボランティアとして活動していますか。
団体は5人の主要メンバーと、主に20代の学生や社会人で構成される15人前後のボランティアをあわせた、約20人で運営されています。被災地で何かしらの活動をした経験をした人が、自分の住む街に戻った後も継続して東北と関わっていきたいという思いで参加されるケースが多いです。
ボランティアはどのようなポジションで活動できるのでしょうか。
運営側のボランティアスタッフとしては、
- 11日のイベント当日だけの設営や配膳のサポート
- イベントの企画にも参画し、食材の仕入れの調達も含めて行うスタッフ
- 具体的にその月のイベント立案に関わる、責任のあるリーダー的な役割
などがあります。一度お客さんとして訪れた後にメンバーに加わる人も多くいます。
活動を通じて、どんな体験・経験が得られますか。
復興、災害に興味がある人、価値観や思考が近い人が集まるので、そこで新しいコミュニティーが生まれやすく、そうした人と人とのつながりが面白いと思います。学生からは「社会人とのつながりができることに魅力を感じる」、また社会人からは「家でも会社でもない第三の居場所ができた」という声を聞きます。「現地に行かなくてもできることをやるということが大切」という共通の価値観を持った仲間とともに、東北に関わり続けることができます。
どのようなスケジュールで活動するのでしょうか。
毎月の準備としては、週1回約1時間の定例ミーティングをオンラインで行い、進捗状況の確認をしています。毎回参加しなければならないというものではありませんが、その月の企画内容についてまとめる担当者は開催日の1カ月前からは毎回出てほしいですね。
どんな人たちがボランティアとして活躍していますか。
特定の人が活躍するということはありませんが、地域の思い入れがある方がやはり熱心です。きっかけ食堂は学生団体から始まった団体なので、自分たちがやりたいことをやる若者らしさが根付いています。きっかけ食堂というコミュニティーで貢献できること自体が楽しいと感じてボランティアに参加している人もいますし、人とのコミュニケーションを楽しみに運営メンバーになっている人もいます。自分自身が楽しみ、やりたいことをやってほしいと考えています。
ボランティアに必要なスキルはありますか。
特別なスキルは必要ありません。企画書や作業のリスト、収支計算表などフォーマットができているので、ボランティア経験のない大学1年生でも手順を踏めばできるようになっています。
活動する上で大切にすべき点はどんなことでしょうか。
ボランティアは自発的なものなので、楽しんで参加してほしいです。一方で、できないことはできない、忙しい時は忙しいと言って無理をしないことでしょうか。
執筆:藤川典良
取材協力:特定非営利活動法人 きっかけ食堂(外部サイト)
特定非営利活動法人 きっかけ食堂
2014年5月に、当時京都市在住で立命館大学の学生だった3人が設立。全国各地で毎月11日に開いている東北酒場「きっかけ食堂」を運営。生産者から直接仕入れた東北の食材を使った料理やお酒を提供し、その場を通じて東北や震災についてかんついて考えるきっかけを作っています。