| 2009年6月25日号 [ジャンル:文化・芸術・スポーツ] |
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「無茶苦茶、目茶苦茶、芽茶苦茶、滅茶苦茶(むちゃくちゃ、めちゃくちゃ、めちゃくちゃ、めっちゃくちゃ)。これらは茶の字を当ててありますが、なぜかご存じ?」「……うーん、わからない」
きょとん? としている人たちに問いかけているのは、横浜市にある緑茶専門店「いしだ園」の、おかみさん・石田恵子さん(73)です。
石田さんは、「お茶についての知識が豊富で、話し始めたら止まらない上に面白い」と、ご近所で評判の女性です。地域の皆さんに求められ、幼稚園、小学校、企業の婦人部、公民館など、いろんな場所へボランティア講師として出かけている「まちの先生」です。
うわさを聞いた私は、石田さんのお話がどんなものなのか知りたくなり、ある日の「お茶談義」に参加させていただきました。
「新茶のおいしい季節ですね。玉露のような甘味のあるお茶に熱湯をかけると、やけどさせちゃう。お湯をちょっと冷ましてから、いれてくださいね。でないと苦みが出て“苦茶(くちゃ)”になっちゃうんですよ。“滅茶苦茶”は、筋道の立たないこと、わけのわからないこと(※広辞苑より)という意味ですが、緑茶のおいしい飲み方から当て字がされていて、面白いですね。ほうじ茶や玄米茶は、焙煎(ばいせん)してあるから熱いお湯でもいいんですよ〜」。手際よくお茶をいれつつ、石田さんのお茶トークは続きます。
石田さんが入れたお茶を飲むと、みんな「ホーッ…おいしい」「これまで入れ方を間違っていたみたい」「日本人でよかったと感じる、おいしさですね」顔を見合わせながら喜んでいました。
「“朝茶は七里帰っても飲め”(朝の緑茶は体によいので、飲んだほうがいいという意味)って、ことわざがあるくらい、日本茶は体にいいんですよ。例えば、お寿司屋さんのお茶は、大きな湯飲みでなみなみ入れますよね。あれは緑茶のカテキンという成分が、生ものを食べた後の体を消毒してくれるから。それと、お酒を飲んだ人は体が酸性に傾いているから、弱アルカリ性に戻す意味もあるんです。だから、お寿司屋さんではお茶のことを『あがり(最後)』というんですよ。食後にたっぷり飲んでくださいね」
そういえば、“朝茶はその日の難逃れ”、“朝茶には福が増す”など、同じ意味のことわざがありますね。現代風に言うと、「殺菌作用とビタミン補給が同時にできる」ということでしょうけれども、昔の人は体験として知っていたんでしょうね。当たり前のように飲んでいた緑茶ですが、日本の食文化を感じられ、勉強になりました。 |
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いつごろから、ボランティアで緑茶談義を続けておられるのか、石田さんにうかがってみました。
「20年ほど前からです。あるとき幼稚園の先生から、“母の会で教えて欲しい”と頼まれたのがきっかけです。小学校、町内会、公民館、いろんなところからお声がかかってうれしいです」
私の質問に答えつつ、おちょこくらいの湯飲みに玉露の葉を入れ、すこし冷ましたお湯をそそいで、そのまま出してくださいました。
「すすり茶っていうんですよ。お客さんがきたら遊び気分で出すと楽しいです」
アミノ酸のうまみたっぷり、甘くておいしいお茶にびっくりしました。
「器に茶がらが残るでしょ。これにポン酢とかつお節をかけて、どうぞ食べてみてください」
これがまた、おいしい……。
「おいしいですか?(笑)入れ方も、ちょっとしたコツで味が違うんですよね。目の前で実演するから、子どもでもよくわかるみたいです。小学校で話した後、“学校から帰った子どもたちが、自分でお茶を入れるようになった”と聞き、うれしかったです。お父さんたちにも知って欲しいですね」
たくさんリクエストのお声がかかるのは、負担になっていませんか?
「いいえ。私自身も楽しみながら、ボランティアさせていただいています。おばあちゃんの知恵袋みたいなものですね。どこの地域にも、話し好きなこんな人いるでしょ。知りたいことがあったら、ご近所さんに遠慮なく頼んでみたら? せっかくなんだから、活用すればいいんですよ」
ズズーッ……。お茶をすすりながら、となった、今回のインタビューは、日本らしい味わいがあってよかったです。「玉露の茶がらで、簡単おひたし」今後わたしの定番になりそう。捨てるところがないって、うれしいですよね。「ふりかけや佃煮(つくだに)にして、ご飯にまぜて食べるのもおすすめ」だそうです。
ボランティアの基本は、ご近所同士の助け合いにあるのかも。「お手伝いをする」だけでなく「お手伝いをお願いする」側も、体験してみませんか? 新しい出会いがありそうですよ。 |
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| 元気はつらつ、緑茶トークが止まらない石田恵子さん。おいしく楽しく、ためになるお話がいっぱいでした。 |
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| 玉露を味わったあとは、茶がらにポン酢とかつお節をかけ、簡単おひたしにして食べちゃいました。おいしいですよ。 |
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| 小学校でのお話風景です。日本茶についてはもちろんですが、漢字やことわざへの興味も増すかも。 |
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