| 2009年4月16日号 [ジャンル:保健・医療・福祉] |
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「拡大写本を作るボランティア活動」を、ご存じですか?「拡大写本」とは、通常の印刷物が見えにくい、視覚に障害のある“弱視者”のために作られた、“文字や図形を拡大した本”のことです。
視覚障がい者への支援というと、点字や盲導犬がすぐに連想されますが、視覚に障害がある人の中には、「点字はわからず“見えにくい”弱視のかた」も多くおられます。弱視者の存在や、「拡大写本」そのものがあまり知られていないため、このボランティアの担い手が、全国的に不足しています。
「文字が小さくて見えにくいなら、拡大コピーすればよいのでは?」……と、思いがちですよね。ところが、ひとくちに“弱視”といっても、例えば「視野が極端にせまい」「中心だけが見える」「中心が見にくく、その周辺が見える」など、ひとりひとり見えかたは違うのだそうです。そのため、単純に拡大した印刷文字より、手書きで作った拡大写本のほうが、はるかに読みやすいケースがあるのだそうです。
神奈川県川崎市で活動をしているボランティアサークル、『拡大写本グループ とんぼ』の例会を見学させていただきました。取材させていただいた3月末は、4月から使用する新しい教科書製作の締め切り直前で、みなさん熱心に取り組んでいました。
製作の流れ……小・中学校の国語、数学、社会などの教科書を、ページ割りで分担を決めて持ち帰り、自宅で拡大して書く作業をし、例会時に持ち寄ります。例会ではグループごとに集まり、レイアウトやルール事項の確認、見直しなどの作業をします。チェックが終わったら、ページごとに重ねて製本します。
皆さんが助け合いながら取り組んでいるようすは、とてもあたたかい雰囲気で素敵(すてき)でした。
「文字の大きさや行間は、利用者のニーズ(それぞれの見えかた)に合わせて作っています」とのことでした。 |
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代表の、伊藤裕美さんが、こんなふうに説明してくださいました。
伊藤さん/「例えば、現在締め切りを迎えている“教科書”でしたら、毎年12月ごろ、教育委員会から、“全国拡大教材製作協議会”という全国組織に依頼が入ります。私たちは、川崎市で活動をしているボランティアグループですが、この協議会を通じ、長崎の五島列島や沖縄など、遠方からの依頼が届きます。全国的にボランティアが不足しているからです」
メンバーのみなさんに、質問させていただきました。
−拡大写本のボランティアを始めた、きっかけを教えてください。
「台風シーズンのときに、ある地域で図書館が水浸しになり、“拡大写本が使えなくなってしまった”というニュースを見て、拡大写本ってなんだろう? と、興味を持ったのがきっかけです」
ほかには、「地域の広報紙で、拡大写本ボランティア養成講座の告知を見たのがきっかけ」「近所に弱視のかたがいて、何かお手伝いしたかったから」「図書館でのボランティア募集を見て、応募しました」など、みなさんさまざまでした。
−いま作っている教科書で、注意している点はどんなところですか?
「とめ・はね・はらいに注意した“正しい漢字”を書くことですね。拡大写本のボランティアを始めてから、自分がどれだけいいかげんな字を書いていたか、勉強になりました」
−自宅で、ひとりで、書き進めていきますが、不便な点や不安を感じることはありませんか?
「作業は自宅で行いますが、まずは試し書きをして、例会のときにみんなに相談できますから、大丈夫です。グループで確認や話し合いをしながら作れるよさがありますよ」
−よろこびを感じるのは、どんなときですか?
「利用者のかたから、“読みやすかった”などの感想が届いたときは、とてもうれしいです。“ここが見えなかった”などの具体的な感想も、工夫や改善につながりますから、うれしいです。やりがいを感じます」
拡大写本製作ボランティアは、全国的にとても不足しています。手書きとは別に、パソコンを使って作る拡大写本のニーズもありますので、「パソコンに関する専門知識をもったかたにも、ぜひ参加してもらえたらうれしいです」とのことでした。
「プチボラしてみたいな」と、感じたかたは、地域の身体障害者福祉協会や全国拡大教材製作協議会に問い合わせて、近くで活動しているボランティアグループを教えてもらってくださいね。
・「拡大写本」の検索結果 -Yahoo!ボランティア
・「視覚障害」の検索結果 -Yahoo!ボランティア
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| 左が通常の教科書で、右が拡大写本です。教科書だけでなく、図書館の蔵書や料理のレシピ本など、さまざまなニーズがあります。全国的にボランティアが不足しています。 |
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| 「拡大写本グループ とんぼ」では、それぞれが自宅で書いてきた拡大写本を、例会のときに、みんなでチェックしたり話し合ったりしながら、作っておられました。 |
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| 製本作業中の、拡大写本です。背を糊(のり)づけし、ドライヤーで乾燥させているところです。カバンに入るよう、通常の教科書と同じにサイズに仕上げますが、そのため、冊数が増えます。 |
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